繁忙期の増車は計画的に:3ヶ月で30%を超えると届出でなく審査になる仕組み
この記事のポイント
- 今回増やす台数と、直前3ヶ月に増やした台数の合計が、3ヶ月前の営業所の台数の30%以上になると、増車は届出でなく認可の審査になる(中部運輸局の公示)。
- ただし、その合計が10両以下なら30%の条件には当たらない。
- 審査では、行政処分・巡回指導の評価・重大事故・車検・報告の提出などが見られる。繁忙期の増車は早めに計画する。
※登場人物は架空のキャラクターです。内容は2026年10月時点の法令と、中部運輸局(愛知・岐阜・三重などを管轄)の公示にもとづきます。運用の細部は運輸局ごとに異なるため、実際の手続きは管轄の運輸支局にご確認ください。
ゲンさん、年末の繁忙期に向けて、うちの営業所でトラックをまとめて増やすそうなんです。夏にも何台か増やしたばかりなんですけど。
ほう、景気がいいな。だがな、短い間に何度も増やすときは、ちょっと計算が要るんだ。
計算、ですか?
ああ。増やし方によっては、いつもの増車届じゃ済まなくなる。
増車は、ふだんは「届出」で済む
増車は、前もって届け出ればいいんですよね。
ふだんはな。トラックの台数の変更は、あらかじめ届け出ればいいことになってる(貨物自動車運送事業法 第9条第3項)。
「ふだんは」ってことは、例外があるんですね。
ある。増やしたあとの事業計画が、許可の基準に合わなくなるおそれがあるときは、届出じゃなくて認可の審査になる(貨物自動車運送事業法施行規則 第6条第1項第1号の括弧書き)。どんなときが「おそれがある」にあたるかは、運輸局の公示に書いてある。今日はそのうち、短い間に大きく増やす場合の話だ。
「3ヶ月で30%」の計算のしかた
大きく増やす、ってどのくらいですか?
中部運輸局の公示では、こう決まってる。
- 今回増やす台数と、申請日の前3ヶ月以内に増やした台数を足す。
- その合計が、申請日から数えて3ヶ月前の時点で営業所に置いていた台数の30%以上になると、審査になる。
- ただし、その合計が10両以下なら、この条件には当たらない。
うーん、例で聞いてもいいですか?
よし。3ヶ月前に40台置いていた営業所があるとする。この3ヶ月で6台増やしていて、今回さらに6台増やしたい。合計は12台だ。
40台の30%は……12台。ちょうど30%ですね。
「30%以上」だから、これは審査になる。
じゃあ、3ヶ月前に50台だったら?
50台の30%は15台だ。合計12台なら30%に届かないから、この条件では審査にならない。
「10両以下なら当たらない」というのは?
小さい営業所の話だ。たとえば3ヶ月前に10台の営業所が、この3ヶ月で2台、今回3台増やす。合計5台で、10台の50%だが、合計が10両以下だからこの条件には当たらない。
小さい営業所が数台増やすたびに審査、とはならないんですね。
そういうことだ。
30%のほかにも、審査になる場合
30%に届かなければ、ぜったい届出で済みますか?
そうとも限らない。公示には、法令を十分に守れていないと見られる場合も挙がってる。
- その営業所の行政処分の累積違反点数が12点以上のとき
- 申請日の前1年間に、その営業所が適正化事業実施機関の巡回指導で総合評価「E」を受けているとき
- 密接な関係にある会社が許可の取り消しを受け、5年たっていないとき
それと、中部運輸局の管内で車の使用停止以上の処分を受けているなら、増車の予定日までに、その処分期間が終わっていなきゃならない。
審査になったら、何を見られる?
審査になったら、どうなるんですか?
事業を大きくする申請と同じ物差しで見られる。公示に挙がってる主なものは、こうだ。
- 申請日の前6ヶ月間(悪質な違反なら1年間)に、車の使用停止以上の処分を受けていないこと
- 申請日の前3ヶ月間に、その営業所が巡回指導で「E」の評価を受けていないこと(指摘を受けたすべての項目を改善報告していれば別)
- 申請日の前3ヶ月間に、その営業所で自らの責任による重大事故を起こしていないこと
- 同じ運輸支局の管内のすべての営業所のトラックが、有効な車検証を受けていること
- 事業報告書・事業実績報告書などの届出や報告に、出し忘れがないこと
- 運送の対価の「運賃」と、それ以外の「料金」を分けて受け取ると決めた運送約款を使っていること
ふだんから、ちゃんとしておかないといけないことばかりですね。
そうだ。それに、認可は届出より手間も時間もかかる。繁忙期の直前に慌てて増やそうとすると、間に合わないこともある。
繁忙期の増車は、いつから考える?
じゃあ、年末に増やすなら、どうしたらいいですか?
まずは、3ヶ月前の台数とこの3ヶ月で増やした台数を数えることだ。それで30%にかかりそうなら、早めに運輸支局へ相談する。
夏に増やした分も数に入るから、ですね。
そうだ。それと、繁忙期が終わってトラックを減らすときは、減車の届出も忘れるなよ。
はい! 課長と一緒に、台数を数えるところから始めます。
まとめ
- 緑ナンバーの増車は、ふだんは事前の届出で済む(貨物自動車運送事業法 第9条第3項)。ただし、増車後の事業計画が許可の基準に合わなくなるおそれがあるときは、認可の審査になる(同法施行規則 第6条第1項第1号)。
- 中部運輸局の公示では、今回の増車台数と前3ヶ月以内の増車台数の合計が、3ヶ月前の配置台数の30%以上になると審査になる。合計が10両以下なら、この条件には当たらない。
- 累積違反点数12点以上、前1年間の巡回指導「E」なども、審査になる場合として挙がっている。
- 審査では、行政処分・巡回指導・重大事故・車検・報告の提出・運送約款などが見られる。繁忙期の増車は、台数を数えて早めに運輸支局へ相談する。
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